こころのなかの、じぶんにまつわる世界について、そこで見えたままを、覚えているとおりに、描いてみました。

「orange house」  220x273    F3         oil painting    2010

ハロウィーンぽい絵を・・・。

百鬼夜行と言いましょうか、

普段は隠れている何かが、

普通に紛れ込んでいる・・・オバケの行進がね、

見えたりしたら怖いけれど。

この世界には、はっきりしないものが、たっぷりあるよね。

面白いもの

面白くないもの

見えたり

見えなかったり

もやもやした気持ちも

よく見えないこころも

奇妙なモンスターだと思えたら・・・

それが出たとき、笑っちゃえ

ネコかぶりを笑ったり、

二枚舌を笑ったり、

あんまり使うと

元来た道を戻れないよ、と訝しむ。

万聖節の前日お祭りみたいに、

なんで魔女やミイラ男やカボチャやドラキュアまで

現れて騒ぐのか、

よくわからないけど、

クリスマスよりも

なんだか変でたのしいぞ。

スウェーデンのお家を描くお仕事をした時に用意した、

自分では気に入っている絵です。

bgm...「DON'T THINK TWICE 」 Bob Dorough 

 

「紅い目」  140x180    F0       oil painting     2006

絵を描くとき、いろいろ音楽を聴いているのですが、

聴いた音楽のイメージを追うことは意外に少ないのに、

この絵は、なんだか強烈なイメージが消えなくて、

描き留めたかった。

兎は指人形のように、

カーテン越しに、世界を窺っている。

何故かと言うと、

見たくもないようなことを見ていたら、

その目は赤く傷ついてしまったからです。

bgm...「火の川」 小谷美紗子

 

「あの日のテーブル」  158x227    SM         oil painting     2009-2010

気配について・・・

さっきまでそこに座って

サヤエンドウのすじを、ひいていたひと

その日から、たとえば10年・・・

ねこが好んで寛いでいた

庭の椅子

もういないけれど

ちいさい爪痕が、なつかしい

想い出というのは、

さみしくて、優しいもの

映像化された時間が

いつも

傍にあるもの

bgm...「Apart」 The Cure

 

「a Chimney」 158x227    SM     oil painting     2002

なんの教育もなくて、

絵を描いちゃいけないんでしょうか。

ただ、描きたいものが見える。

大好きなロック・バンドの音は、どうやって勉強したの?

好きだから、指を痛めながら、

音楽を紡げるんでしょ。

ナイーブ・アートでも、

アウトサイダー・アートでも、

なんでもいいや。

好きなように出来るなら。

でも、誰かと交流したいな。

おべっか義理無しの。

見つけて欲しいな。

まだ煙突の中・・・

ここで、赤く燃えている。

bgm...「Walk On The Wild Side」 Lou Reed

 

「山彦が答える」 140x180   F0      oil painting      2006-2010

よるからあさへ

ことばのいらないじかん

おおおい

...おおおい

おおおい

...おおおい

泣いているのかい

けもののこえで

bgm...「Feeding The Witches」Tanita Tikaram

 

「お隣さん」 227x158  SM   oil painting    2009-2010

 

いろのなかで「しろ」が、いちばんすきで

なんでも白を選びたいけれど、

しろがよごれることに

我慢がならないので、

遠くから眺めている。

いつもそう考えるので

いちばんたいせつなものから

離れている気がする。

bgm...「I Can See It (But I Can't Feel It)」    My Bloody Valentine 

 

「hot ミカン」158x227  SM   oil painting     1998

石油ストーブが燃える三畳間が父の部屋で、

朝、ラジオ体操の時間に起きると

肝油ドロップをもらった。

夏を越して、

ブルーム現象をおこしたチョコレートと、

冬は、

焼いたミカンを食べた。

ストーブの上で、

ミカンが皮を焦がしながら、

中から身を薄皮いっぱいに膨らまし、

破裂する寸前の

熱々なところを

そおっと剥いて食べる。

hotミカンの芳ばしい香りに、プツン

とした薄皮を破る触感は、

父と冬の部屋を思い出させる。

bgm...「見知らぬ国から」 Schumann

 

「未完成なジャクリーヌ・デュ・プレの静物」 158x227   SM   2010

本来は、半八重のフリフリした花弁を平咲きさせるジャッキーですが、

旺盛な成長意欲から、幼い木に一重の花を咲かせてしまいました。

そういえば、

以前みた夭折のチェリストの伝記的映画は、

イギリス郊外の海辺と別荘が

あまりにchicな色彩で、目に懐かしい心地よさだった。

そしていつか、このメモリアル・ローズを愛でることを楽しみにしていました。

 コップに挿した薔薇と、北欧的セラミックの壺が、

毛足の深い古織物のカーテンのある棚に置かれたところを、

空想して。

そっといるその場所で、

ひとも、花も、瞑想が始まるものです。

bgm...「チェロ協奏曲ホ短調 作品85」 Elgar

 

「青い空」158x227  SM oil painting   2009-2010

空を見上げる。

理由は判らないが

さみしくても

うれしくても

迷っても

決意しても

空を見上げたりする。

青い空

今は

ちょっと

潤んでいる。

風に従って千切れて

透明になっていく

忘れられない

カタチを残して

bgm...「青い空」andymori

 

「美しい夕暮れ」158x227 SM   oil painting   2010

1枚の絵を

描き始めるきっかけは・・

色だったり

形だったり

想いだったり

いろいろ

 

自分にとって

何かを思い出す

糸口になればいいので

小さい作品は

鮮明なうちに

記憶を留めることが容易にも思う

集中力で駆け抜けるスペース

だけども

よく出来た短編小説が

読むに容易く

描くに精密な仕掛けが要るように

自分のささやかな想い出を

どう切り抜いて

貼りつけるか

実は・・・悩ましい

わたしの楽しいことは

気分や

空気に近い

甘やかな・・・

シャボンの泡と

小さい虹ほどのものだから

もたもたしてたら

掻き消えちゃう

でも思うのは

せめてそれが

・・・残像のように

美しければ

いいな、って。

 

描き留めた世界を

見ているのが好き。

bgm...「美しい夕暮れ」Debussy

 

「二つ繋がりの家」180x140 F0    oil painting   2010

「ベルリン天使の詩」という映画で、

サーカスのトレイラー・ハウスに住むブランコ乗りの女が、

自分ひとりの時間にかけたレコードの音は、

奇妙な葬送曲のようだった。

疲れて

わびしい空気にひっそりと寄り添う

無色の世界。

これはわたしの勝手な空想だけれど、

女は、

白粉滲みた衣装を

窓に吊るし、

色褪せたソファ・シートに座り込む。

ほんの少しの癒しが欲しくて、

綿菓子のような、

甘い香りのロウソクを灯し、

夢をみたりする。

誰か・・

だれか自分と、

夢をみられるだれかと・・

どこかに、

何処かにずっと暮らしたい。

だれかと結ばれて・・

永遠に。

けれど、

その晩みた夢ときたら、

奇妙に繋がりあう二つの家だった。

誰かとの暮らしの夢は扉の二つある、

時間の分かれた

ただの暮らしだった。

夢は、

叶えがたい希望を、

まるで捩じり飴のように、色だけは甘く・・

味は安っぽく

淋しい景色のなかに現しただけだった。

bgm... 「The Carny」Nick Cave & The Bad Seeds